「タロちゃん、ママから相談なんだけど聞いてくれる?」
「ウンいいよ。何なのママ?」
「あのね、タロちゃんのお手伝いのことなの。何がいいかパパと相談したの。」
「ウン、それで。」パパの名が出ただけでタロちゃんが、身を乗り出してきました。
「それでね、パパのクツを磨いてもらえたら、パパもとっても助かるって。」
「ウンやる、やる。オレ、パパのためなら何でもやるよ」
その夜。パパにクツの磨き方を教わりました。
「タロちゃん、男はいつもクツをキレイにしておくものなんだよ。」
「ウン。」
「特に靴先をていねいに磨くんだよ。クツは靴先が命なんだからな。」
「ウン分かった。」
教わった通りに、馬の毛のブラシでていねいにホコリやチリを落とし、次に布で磨き上げて終わりです。
タロちゃん、パパと自分のクツを並べて終わりです。ナットクの仕上がりです。
いつものようにタロちゃんは、ベッドのパパの膝の中に入り、絵本を読んでもらってました。寝る前の一番大好きな時間です。隣でママが微笑んでます。ママが言いました。
「ねえパパ!今日タロちゃんが言ってたよ。オレ、パパのためなら何でもするよって。」
「それって、パパのオレがタロちゃんに言うセリフだよ・・・・・」
パパは絵本の字が滲んで読めなくなってしまいました。ただ黙って、タロちゃんを抱きしめ続けていました。
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