2年生でさらに経験を積んで、いよいよ3年生になりました。1学期に京都修学旅行があります。
5月から修学旅行の話し合いが始まりました。生徒の実行委員会から、話し合ってほしいテーマが次々と出されます。
持ち物では、ほとんど決まりかけていた時、ユータ君が手を上げました。 「あの~、枕を持って行きたいんですが・・・」
「どうしてですか?旅館の枕じゃダメなんですか?」
と実行委員が問いかけました。
「ハイ、ダメです。自分の枕じゃないと眠れないんです。」
てなわけで、めでたく枕を持って行ってもよいことになりました。
部屋割りでは、ヒョウキンなマサシ君が、
「部屋割りは、ぜひ男女混合がいいです。去年の林間学校は、男女別なのでつまらなかったからです。」
大爆笑です。討論抜きですぐ採決。賛成はマサシ君だけなので、圧倒的少数で否決されました。それでも本音(?)を言えたマサシ君は、ニコニコです。
そして見学班だけでなく、部屋割りもクラス関係なくつくることになりました。この方が合理的なのです。
面白かったのは、部屋割りを決める時でした。150人が一斉に部屋番号を書いたフダの下に集まり話し合っています。部屋決めが一段落したので、いたずらっ子シュート君たちが集まった部屋番号のところへ近づいた私が、
「そうか!夜はこの部屋だけ見張ればいいんだ。よかったラクできるなあ。」
「ボクたちの部屋は大丈夫!それより、あいつらの部屋を見張った方がいいよ、先生!」
と言って、これまたいたずらっ子のコータ君グループを指すのです。コータ君たちに近づいて、そのことを伝えると、
「ヒドイよ、先生。いくらシュートが言ったからって、疑わないでよ、僕らマジメに生活するんだから、先生たち見回りに来なくていいからね。」
こうして修学旅行の話し合いだけで6時間かかりました。子どもたちは、それを楽しんでいました。
さて、修学旅行が始まりました。夜の集会の時です。トシオ君が、
「あの~、班行動中の名札なんですけど・・・僕たち3人は名札を付けませんでした。決まりを破ってすいません。それで、明日からは名札無しでもいいという修正案を提案します。」
「私たちが、道を歩いていると、ガラの悪いオニイサンが寄ってきて、アンタ!学校どこ?って、名札を覗くんです。怖かったです。だから名札無しに賛成です。」
「中学生なんだから、名札を付けるのは常識です。」
などと、なんと名札をつけるかどうかで30分も討論してるのです!ここまで話し合うのが好きになるとは、想定外でした。トドメの発言は、ケンタ君でした。
「よおみんな!いつまで話し合う気?行く前に6時間もかけて話し合ったんだから、オレたちみんなで決めた通りにしようぜ!もう、終わりにしなよ、話し合い。」
これで一見落着。ちなみに私の本音は、名札無しでした。気が小さいもので・・・言えませんでした。
翌日の行動は、全員名札着用でした、自分たちの、学校の名誉と誇りの象徴ですから。
生徒の実行委員会(8名)が、毎晩、夕食後ロビーで開かれました。周りを10数人の生徒が取り囲んで、会議の様子を見学しています。その一人が、
「実行委員ってカッコイイなあ。オレもああなりたいなあ。」
と呟いていたのが印象的でした。私たち教師も、ロビーの隅で羨ましげに見学してました。だってやることがないんです!
この学年を担当するのが初めての先生が、生徒の部屋を見に行って、かえってきました。
「私が、クラスの部屋を見ようと戸を開けたら、いろんなクラスの子がいるのでビックリしました。そうでしたよね、部屋もクラス割じゃなかったんですよね。こういうのって、初めてなので面食らいます。子どもたち、大丈夫かしらね。」
「大丈夫でしょう。子どもたちを信頼しましょう‼」(つづく)
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