あの日の転落を契機にして18歳の私は変わった。自分を生きようと決めた。というのは・・・
記念の雪椿
それまでの私は、他人の顔色を伺い、ビクビクしながら生きていた。それは多分、生い立ちにあるようだ。というのも、私の家は祖父母の夫婦仲が悪くて喧嘩が絶えなかった。一時期は13人で暮らしてた。物心ついた時には、家族の顔色を伺っていた。小学生になってからは、学校から帰宅すると門前で耳を澄ました、家の中からケンカの声がしないか確かめるために。ケンカの声がすると、カバンを持ったまま遊びに行った。そばを流れる江戸川で暗くなるまで遊んでいた。切なかった。
泣きたくても母は、「ガマンしろ!」と言って泣かしてくれなかった。しかたなく母の着物の端を噛んで声を殺して泣いた。嫁としてまだ20代だった母は、私以上に切なかったのだと思う。
他人の顔色を伺うビクビク生活は転落の日まで続いた。
退院してから、ふと考えた。
一度死んだ身。これからは新しい生命が始まるっていうのに、今までの自分でいいのか?新しい自分になれ!という声が聞こえた。
再びワンゲルに復帰した。山に入るたびに自分が開放される手応えを感じた。父も母も「山登りはやめなさい」と、一度も言わなかった。ただ母は私が登山してる時は、仏壇に手を合わせていたという。
こうして、これからはビクビクしないで自分の心が納得する道を進むと決心できた。山も私の生命を助けてくれた。
多くの方々の力と山という大自然の力とでここまで生きさせてもらいました。感謝‼
アッ、そうそう転落の後遺症がありました!高所恐怖症になってしまったのです。登山してるとおっかなびっくりです。がれ場があると背中を電気が走ります。それでも山に行くんですから、ほとんどビョーキです!(終わり)
懐かしい、時としては嫌な出来事を想い出しますが、好い仲間がいて、今があるのだと小生も感じております。 相変わらず、いい文章ですね~ ワンゲル仲間
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