2012年8月23日木曜日

先生、もっと私たち生徒のそばに居て!(いじめ問題 4)

 

生徒たちは、思春期という不安な時期、この交流ノートに悩みを綴り、交流を深め、共感し合う関係を築いてきました。いま、12年ぶりに読み返しましたが、いま担任している感覚になってます。彼らの息遣い、ぬくもり、葛藤がひしひしと伝わってきます。

この学年の生徒と3年間過ごして思うことは、

1、大人は子どもたちのちからを信じ、信頼する。子どもは信頼された分だけ力を発揮する。

2、子どもたちに話し合いの場を提供し、話し合いを重ねることで、他人を知り、共感関係が生まれ、問題解決のちからをつけていく。

3、先生は、できるだけ子どものそばに寄り添っている。

今のイジメ事件などの教育問題を解決するには、先生を良い先生、ダメな先生とレッテルを貼って給料に差をつけたり、やたらと書類ばかり提出させたりするのではなく、余計な雑務を排除して、ゆったりと子どものそばにいられるようにすることです。先生がいつも子どものそばにいるだけで、子どもは安心して生活できるのです。そうすればイジメ・自殺などという悲劇は起こらないでしょう。

教育委員会、文科省など教育に携わる人たちに言いたい!

もっと先生を信頼して下さい!

先生を子どもの元に返してください!

 

以下はひとりごとです。

2班の交流ノートの最後にリュウ君が、

「いつまでも先生のままの先生でいてください」

と、書いてありました。思わず目頭が熱くなりました。というのも・・・

私は、50才頃から指導の限界を感じるようになりました。今まで「オレについて来い」式でやってきたことに疑問が生じたのです。いつしか、いつ辞めようかとの考えが脳裏をめぐるようになりました。そんな悩みの中、この子どもたちを受け持つことになりました。そこで決心しました。もう出しゃばるのはやめる。子どもたちの後ろをついていくことにする。そして頼られた時だけアドバイスする。

私は、子どもに頼られる存在ではなく、ひたすら子どもに頼るだけの存在になりました。すると私と子どもの間にあった見えない壁が消えたのです。それがリュウ君の「先生のままの先生でいてください」であり、クミさんの「先生、定年まで先生続けなよ!」になりました。

この子たちは、私を先生にしてくれた恩人であり、最後まで先生を続けさせてくれた恩人でもあります。

今になって、つくづく思います、先生を先生にするのは子どもたちだ!断じて文科省や教育委員会ではない。そう、先生の先生は子どもだ。先生の先生である子どもから先生を奪うな‼

この子たちが巣立って5年、次に移った学校で、子どもたちが、定年を迎えた私1人のための卒業式を開いてくれました。これは、その時に子どもたちから授与された卒業証書です。

ああ、私は先生になるまでに30年かかり、ようやく先生として子どもたちに認められて5年、晴れて中学校を卒業できました。

私の金メダルです。(おわり)

 

8 件のコメント:

  1. 今井さん渡辺です。先日は素晴らしいお料理ごちそうさまでした。

    素晴らしいブログです。全生研、埼生研そしてFACEBOOKで広めたいと思います。

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    1. 先日はありがとうございました。満足していただければ幸いです。
      さて、いじめ問題では、ブログに書くか迷っていました。しかし子どもを傍に追いやって、大人が騒いでいるのを見て、書きました。私のささやかな意見を広めていただけるなんて、感謝あるのみです。
      ブログに載せた交流ノートは、私と一緒にあの世まで持って行きます。

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    2. 井本です。

      子どもたちにようやく教師にさせてもらった、この言葉は私も退職の年に実感した。

      5,6年と続けて担任したが、5年の3学期から、「指導」が空回りしていた。それは、
      6年の2学期頃まで続いた。(その一端は「教室の扉をひらく」埼生研常任委員会編/2007年
      8月刊、に実践が掲載されている)

      卒業式練習を終えた体育館で、Mが「先生、ちょっと残って」と。
      クラスの半数近くが残っていた。
      Mは、「荒れ」の中心には出ないで、「けだるい」雰囲気をクラスに与える
      子でもあり、良い点でも逆の点でも影響力を与えていた。

      「先生、檀上にあがって」と。Mは私の前に立ち、私の名前を呼んだ。そして、
      「あなたは、この学校の教師を卒業したことを認める」
      残っていた子どもたちは、大きな拍手。
      私は、彼らの卒業と同時に、3月いっぱいで、定年退職を迎えた。

      卒業式が終り、教室の後ろにいた保護者、そして子どもたちに、私は話した。
      「あなたたちとそして、お家の方々のお力によって、ようやく教師に
      させてもらいました」

      「荒れ」の中心にいた子どもの中の二人は、高校中退したと聞く。
      彼らと別れて、6年が過ぎようとしている。
      どこかで、彼らと出会い直しをしたいと思っているのだが。

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  2. 全生研と埼生研のMLで紹介しました。またFACEBOOKでも紹介したところ反響続々です。また是非続編書いてください。全国の人たちが待ってます。ほんとです。

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  3. 先日はとっても美味しい料理のかずかず、おいしかったです。ありがとうございました。
     「いじめ」問題の今井先生の発言を読みました。なんだか自分の原点にかえったようです。今の学校現場にいるとついつい忘れてしまいます。これからももっともっと発言してください。

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  4. 井本です。

    お近くにいながら、なかなかお会いできる機会もありません。

    ブログで、これまでの実践の歩みをまとめ、発信されているのですね。
    じっくり読ませていただきます。

    「いじめは絶対許さない」「厳罰主義」の風潮の中で、快活な
    少年期の「価値ある発達の源泉」の交わり体験が奪われていき、さらに
    息苦しい学校になっていくことを危惧します。

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  5. お久しぶりです、大阪の福井司です。
    覚えていただいているでしょうか?かつてのレポートへのコメントはありがとうございました。
    懐かしさのあまり、思わずコメントしてしまいました。
    今はゆえあって、教頭をやっていますが、当時生まれたてだった、サークルセロリは順調に成長し、若手メンバーも固定し、そろそろ手を離してもいいところまできました。
    今井さんが庵主になっておられるなんてびっくりです。
    でも、いいなぁ。羨ましいです、真似はできませんが。
    後現役4年です。再任用でプラス2年か3年です。まあ、ボチボチやります。
    ぜひ山歩にも行きたいです。

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  6. 福井さん、予約必須ですよ。2年後くらいになるらしい。是非リザーブを!!

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