「ママ、ムーばあちゃんにご挨拶してくるね。」
タロちゃんは、奥の和室に安置されているムーばあちゃん(タロちゃんの曾祖母・97才)の遺体のところへ行きました。線香を一本捧げ、チーンと鐘を鳴らしました。一心に手を合わせて、ムーばあちゃんと心の中で話しをしています。
・・ムーばあちゃん!死んじゃったの?・・
・・そうよ、タロちゃん。・・
・・悲しくないの?・・
・・ちっとも悲しくないよ。だってね、私が死ぬ時、タロちゃんのジージがずうっと手を握っていてくれてたし、それにこうやってタロちゃんが、私とお話ししてくれてるから、悲しいどころか、とっても幸せだよ。・・
・・そうかあ、よかったあ。でもねえムーばあちゃん、この後どこへ行っちゃうの?・・
・・遠くへ行っちゃうの。・・
・・遠くってどこ?・・
・・西の空遠くにある赤ちゃん星に行っちゃうの。そこでね、生命の赤ちゃんになるの。タロちゃんには会えなくなるけど、タロちゃんの心の中では、いつでも会えるからね。・・
・・ウン、わかった。ムーばあちゃん、またお話ししにくるね。・・
タロちゃんは、会えなくなるムーばあちゃんに、折り紙を最後のプレゼントにしようと決めました。
「ママ、ムーばあちゃんが赤ちゃん星に還っても遊べるように、折り紙作りたいな。」
「それって、いい考えね。」
「そうすれば、一人でさみしい時や飽きちゃった時に折り紙で遊べるよね。」
「そうよね、タロちゃん。」
お葬式の日、タロちゃんは、棺の中に眠ってるムーばあちゃんの側に、折り紙で作った飛行機と鶴と紙風船を、そっと置きました。
「バイバイ、ムーばあちゃん!」
ムーばあちゃんが、すこし微笑んだように見えました。
幸せ色に包まれて、ムーばあちゃんは、西の空遠くの赤ちゃん星に還って行きました。タロちゃんの作った折り紙を持って・・・・・
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