2013年12月2日月曜日

130才物語 3 エーッ、ウチを店にするの⁉

ある日、 健夫さんが奥さんの妙子さんと珍しく真剣に話し合っているんだ。私も何事かと、聞き耳を立てたもんだ。

「なあ妙子。オレも後10年で定年になる。その後をどうしようか考えがあるんだけど。」

「考えって何よ?」

「この家をリフォームしてから、来る人皆んなが気に入ってくれてる。またここまで生きられたのも皆んなのおかげだなあと、つくづく思うよ。だから皆んなへの恩返しの意味でも、この家、この環境を活かしたいんだ。」

「それはいいけど、何やりたいの?」

「皆んながこの家に気楽に来られるには、レストランがいいかなって思ってるんだけど・・・」

「私だけじゃ判断つかないかわ、娘にも相談しないと。だから少し考えさせて・・・」

 

その後、娘さんを交えた3人で話し合いが進み、レストランをやることになったのよ。私は気絶するかと思ったね。私の家に見知らぬ人が毎日出入りするなんて、想像つかなくてね。

娘さんは接客担当。娘さんはホテル勤めだから接客は大丈夫。

妙子さんが調理担当。妙子さんはだいぶ悩んだ末、会社を辞めて調理を一から勉強すると決意したんだ。50才近くなって調理学校(女性の起業応援の県立学校)を受験、見事合格!卒業後、懐石料理店を皮切りに、色んな店で修業すること約8年、ようやく納得いく料理が決まったらしい。妙子さんは、こんなことを言ってたなあ。

「レストランをやるからには、他にはないオンリーワンの店にしたい。女性が一人でも、安心して入れる、そしてユックリと料理を楽しみ、会話を楽しめる店にしたい。」

健夫さんの仕事?忘れるところだった。健夫さんはね、庭仕事、畑仕事に皿洗い、つまり裏方ってこと。健夫さんお似合いの仕事ダネ!

店の名前の「山歩」はね、妙子さんが決めたの。二人が知り合ったのも山、結婚してからも登山を愉しんでいることから命名したらしいよ。でも嬉しいよ、店の名前が山歩ということは、この建物に山歩という名前がついたということだからね。私の130年間で、初めて名前をつけてもらえたんだから。

2007年4月1日、レストラン山歩、オープン‼

以来6年、3人ともよくやってるよ。私?毎日沢山の人が出入りして、幸せです。近頃、130才に見えないと言われるんだ。若返ったのかなあ⁉ウッヒッヒ・・・

 

1 件のコメント:

  1. 妙子さん8年も修行されたのですね
    <3人4脚>の絶妙なバランスで目標通りの
    おいしくゆっくり料理が楽しめる素敵なお店ができたという訳ですね
    130歳 バンザ~イ!!

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