2012年11月29日木曜日

星の子タロちゃん物語16・パパのためなら・・・

「タロちゃん、ママから相談なんだけど聞いてくれる?」

「ウンいいよ。何なのママ?」

「あのね、タロちゃんのお手伝いのことなの。何がいいかパパと相談したの。」

「ウン、それで。」パパの名が出ただけでタロちゃんが、身を乗り出してきました。

「それでね、パパのクツを磨いてもらえたら、パパもとっても助かるって。」

「ウンやる、やる。オレ、パパのためなら何でもやるよ」

その夜。パパにクツの磨き方を教わりました。

「タロちゃん、男はいつもクツをキレイにしておくものなんだよ。」

「ウン。」

「特に靴先をていねいに磨くんだよ。クツは靴先が命なんだからな。」

「ウン分かった。」

教わった通りに、馬の毛のブラシでていねいにホコリやチリを落とし、次に布で磨き上げて終わりです。

タロちゃん、パパと自分のクツを並べて終わりです。ナットクの仕上がりです。

いつものようにタロちゃんは、ベッドのパパの膝の中に入り、絵本を読んでもらってました。寝る前の一番大好きな時間です。隣でママが微笑んでます。ママが言いました。

「ねえパパ!今日タロちゃんが言ってたよ。オレ、パパのためなら何でもするよって。」

「それって、パパのオレがタロちゃんに言うセリフだよ・・・・・」

パパは絵本の字が滲んで読めなくなってしまいました。ただ黙って、タロちゃんを抱きしめ続けていました。

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