2014年10月17日金曜日

オフクロ 8・ありがとう

母の帰宅に備えて、妻は母の好きな料理を思い出して献立を考えてくれた。そして滞在に必要な物を用意してくれた。何もできない私だった。初日の夕食はスキヤキ。肉は黒毛和牛!
食事しながら妻は、
「お母さん、間引いた大根、どうしたらいい?」
と、聞けば、
「そうだなあ、ぬか漬けにするとおいしいよ!」
と、生き生きと話し出す。妻は母の楽しい時代のことを上手に聞き出す。母の表情は輝き出す。
「畑仕事は楽しかったなあ!」
と、40代の母になっている。何しろ母は、戦後間もない食糧難の時は、リヤカーに自家製野菜を山積みにして、ジャリ道の4号国道を自転車で浅草まで行商に行ったツワモノ、野菜作りの話には力が入る。


     


トイレの介助は、二人がかり。車椅子の前に私が、後ろに妻が。狭いトイレのため、3人とも額に汗が浮かぶ。
妻は、母を安心させながら処理をしていく。私がやれることは、母を支えるつっかい棒役ぐらい。
終わると母は、
「お母さん、済まないなあ、ありがとう、ありがとう」
と感謝している。隣りに突っ立っているだけの私も心の中で、「ありがとう」とつぶやく。
母は、食事すれば、
「うまかったなあ」
と、嫁である妻に感謝している。
  

0 件のコメント:

コメントを投稿