2014年10月9日木曜日

タケじいの昔話 1 声が凍る?

昔々、ある所にタケちゃん先生ってのがおってな、中学の社会の先生をやっておったそうな。タケちゃん先生はな、1年生の社会科で地理の授業をやる時、決まってこんな話から始めたんじゃそうだ。


「この地球は広い、暑い所もあれば寒い所もある。私が真冬のシベリアに行った時も寒かったなあ。マイナス40度以下になると不思議な現象が起こるんじゃ。」
タケちゃん先生が話し始めると、生徒たちは身を乗り出してくるんだって。
「こう寒いと、電話が通じなくなる。モシモシ、モシモシ、といくら話してもダメなんじゃ。どうしてだと思う?実はな、あまりにも寒いので、声が電話線の中を通っているうちに、凍っちゃうんだと。」
生徒全員が、・・・声だって寒けりゃ凍るよなあ・・・とうなづいているんだって。
「こうしてシベリア中の電話線が凍っちゃうから、冬は電話が使えなくなるんじゃ。
やがて春になるだろ。暖かくなってくると、氷が溶けるように声も溶けてくるんじゃ。するとじゃ、溶け出した声が電話線の中で一斉にしゃべり出すんじゃよ。あっちでモシモシ、こっちでモシモシ、それはそれは賑やかだそうじゃ。外を歩いていると、うるさくてしようがないそうだ!
不思議だねえ。」
聞いてた生徒全員が、・・・そうなんだ・・・とうなづいたそうな。
タケちゃん先生はな、
「もっと寒くなると、何が起こると思う?ハイ、これは次の授業のオ・タ・ノ・シ・ミ」
この日の夕食どき、生徒たちはこの話を家族に話したそうな。親も・・・そうなんだ、不思議なことがあるもんだなあ・・・と、納得してたそうな。( 続く)

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